賃貸の審査はブラックリストでも通る?管理会社が教える対処法

賃貸の審査はブラックリストでも通る?

過去にクレジットカードの支払いを延滞したり、債務整理をしたりした経験があると、賃貸物件を借りられるか不安になりますよね。「ブラックリストに載ってるかもしれない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、ブラックリストに載っていても賃貸物件を借りることは可能です。実際に筆者が勤務する管理会社でも、信用情報に不安を抱えながら無事に契約まで進んだ方は少なくありません。ただし、保証会社の種類や物件の選び方にコツがあります。

この記事では、宅建士として賃貸管理の現場に携わる筆者が、ブラックリストでも審査に通る具体的な方法を解説します。管理会社が実際にどのような基準で審査しているのかという裏側もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

目次

ブラックリストとは?賃貸審査への影響を正しく理解しよう

まずは「ブラックリスト」の正体を正しく理解しましょう。実は、ブラックリストという名前の名簿は存在しません。

そもそも「ブラックリスト」は存在しない

「ブラックリスト」とは、信用情報機関に事故情報(異動情報)が登録された状態を指す通称です。特定の名簿やリストがあるわけではありません。

日本には3つの信用情報機関があります。

信用情報機関主な加盟機関
CIC(シー・アイ・シー)・クレジットカード会社
・信販会社
JICC(日本信用情報機構)・消費者金融
・一部のクレジット会社
KSC(全国銀行個人信用情報センター)・銀行
・信用金庫

これらの機関に「延滞」「代位弁済」「債務整理」などの記録が残ると、いわゆる「ブラックリストに載った」状態になります。

ブラックリストに載る原因と登録期間

事故情報が登録される原因のうち、「債務整理」には主に3つの方法があり、それぞれ手続きの内容が異なります。

種類概要
任意整理弁護士等が債権者と交渉し、将来利息のカットや返済条件の変更を行う手続き
個人再生裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3〜5年で返済する手続き
自己破産裁判所に申し立て、借金の返済義務を免除(免責)してもらう手続き

それぞれの登録期間は次のとおりです。

原因CICJICCKSC
延滞(61日以上)5年5年5年
任意整理5年5年5年
個人再生5年5年7年
自己破産5年5年7年

登録期間が過ぎれば、事故情報は自動的に削除されます。自分の情報が登録されているか確認したい場合は、各機関に本人開示請求を行いましょう。CICはインターネットから500円で開示請求ができます(参照:CIC公式サイト|情報開示とは)。

賃貸の入居審査で信用情報はどこまで見られる?

「ブラックリストに載っていると、すべての賃貸審査に落ちるのでは」と心配される方は多いです。しかし、実際はそうではありません。

信用情報を確認できるのは、信用情報機関に加盟している事業者だけです。つまり、すべての保証会社が信用情報を見ているわけではないのです。

保証会社の3つの種類と審査基準

賃貸契約で利用される保証会社は、大きく3種類に分かれます。それぞれ審査基準が異なるため、この違いを知ることが重要です。

種類信用情報の照会審査の厳しさ代表的な会社
信販系あり(CIC照会)厳しい傾向・オリコ
・ジャックス
・エポス
協会系(LICC(全国賃貸保証業協会)(保証会社同士で家賃滞納履歴を共有)加盟)なし(家賃滞納歴のみ共有)中程度・全保連
・日本賃貸保証
独立系なし(独自審査)比較的やさしい・日本セーフティー
・フォーシーズ
・Casa

ブラックリストの影響を直接受けるのは、信販系の保証会社だけです。協会系や独立系の保証会社は、CICやJICCの信用情報を照会しません。管理会社の実務でも、信販系で否認が出た方が独立系に切り替えたところ、すんなり承認されるケースは日常的に見られます。

ただし、協会系(LICC(保証会社同士で家賃滞納履歴を共有する仕組み)加盟)の保証会社は、加盟会社間で家賃滞納の情報を共有しています。過去に家賃を滞納した経験がある方は注意が必要です。

管理会社の主な審査基準

管理会社の実務では、保証会社の審査とは別に、独自の判断基準があります。

管理会社が主にチェックしているのは次の点です。

審査項目確認内容
年収と家賃のバランス家賃は月収の3分の1以内(年収の約30〜36分の1)が目安
勤務先と雇用形態在職確認を行う場合もある
申込書の記載内容空欄や矛盾がないか
本人の印象内見時や来店時の態度・身なり
喫煙の有無ヤニ汚れや火災リスクを気にするオーナーが多い
国籍や年齢オーナーの意向により条件が設けられている場合がある

意外に思われるかもしれませんが、申込書の「字の丁寧さ」や「空欄の少なさ」は、現場では想像以上に重視されています。管理会社の担当者は1日に何件もの申込書を見ているため、記入が雑だったり空欄が多かったりすると、それだけで「入居後の対応も雑なのでは」という印象を持たれやすいのです。

実務上、管理会社は入居希望者の信用情報を直接確認することはできません。保証会社からの審査結果(承認・否認)を受けて、最終的な判断を行います。つまり、多くの場合は契約に進みますが、オーナーの判断で最終的に見送られるケースもあります。

ブラックリストでも賃貸審査に通る5つの方法

ここからは、ブラックリストに載っていても賃貸審査に通るための具体的な方法を紹介します。

1. 独立系保証会社を利用する

もっとも現実的な方法の一つが、独立系の保証会社を利用することです。

独立系保証会社は信販系と比べて審査基準が比較的柔軟で、過去の信用情報だけでなく、現在の収入や支払い能力を重視して判断される傾向があります。

そのため、いわゆるブラック状態であっても、条件次第では審査に通る可能性があります。

物件を探す際は、不動産会社に「審査が不安なので、独立系の保証会社を使える物件を中心に探してほしい」と具体的に伝えるのがおすすめです。「審査が柔軟な物件」とだけ言うよりも、保証会社の種類を指定したほうが担当者も動きやすくなります。現場の感覚では、こうした相談は珍しいことではないので、遠慮する必要はありません。ただし、物件によっては保証会社が指定されている場合もあるため、事前の確認が重要です。

2. 保証人のみで契約できる物件を探す

保証会社を利用せず、連帯保証人だけで契約できる物件も存在します。

特に個人オーナーが管理する物件や、築年数が経過した物件では、保証会社の加入が必須でないケースがあります。連帯保証人には、安定した収入のある親族(原則として3親等以内)が求められるのが一般的です。

ただし、近年は保証会社の利用を必須とする物件が大半を占めています。体感では、都内の管理物件の8〜9割は保証会社必須です。保証人のみで契約できる物件は、個人オーナーが自主管理しているケースや、地元密着型の不動産会社が扱う物件に多い傾向があります。数は限られますが、ゼロではありません。

3. 親族による代理契約を検討する

代理契約とは、入居者本人ではなく親族が契約者となる方法です。

この場合、審査の対象は契約者となる親族です。親族に安定した収入があり信用情報に問題がなければ、入居者本人がブラックリストに載っていても契約できます。

代理契約ができる親族の範囲は、一般的に3親等以内です。両親や兄弟姉妹に相談してみましょう。

ただし、代理契約であっても入居者の情報は管理会社に提出する必要があります。入居者の身分証明書や収入証明を求められることもあるため、事前に確認しておくと安心です。

なお、代理契約の場合でも、契約者である親族に保証会社の審査が入ります。親族がすでに他の物件で保証を利用している場合、審査に影響が出る可能性もゼロではありません。事前に不動産会社の担当者に状況を伝えておくとスムーズです。

4. 預貯金審査(残高審査)を活用する

一部の管理会社では、収入ではなく預貯金の残高で審査を行う「預貯金審査」に対応しています。

目安として、家賃の1〜2年分程度の預貯金があれば、審査に通る可能性があります。たとえば家賃が7万円の物件であれば、おおよそ84万〜168万円程度の残高が目安とされるケースが多いです。

フリーランスや転職直後で収入証明が難しい方にも有効な方法です。不動産会社に預貯金審査に対応している物件があるか確認してみましょう。

5. 家賃を収入の3分の1以下に抑える

収入に対して家賃を低く設定することで、審査通過の可能性を上げられます。

一般的な審査基準として、家賃は手取り月収の3分の1以下が目安です。たとえば手取りが21万円の場合、家賃7万円以下の物件を選ぶと審査に通りやすくなります。

家賃を下げるには、駅からの距離を広げたり、築年数にこだわらなかったりといった条件の見直しが効果的です。

審査に落ちてしまったときの対処法

万が一、審査に落ちてしまっても諦める必要はありません。次の方法を試してみましょう。

別の保証会社で再審査を依頼する

1つの保証会社で落ちても、別の保証会社で通るケースは珍しくありません。たとえば、信販系の保証会社で否認された場合、独立系の保証会社に切り替えることで審査に通ることがあります。

管理会社の現場では、1つ目の保証会社で否認が出た場合に、別の保証会社で再審査を行うことは日常的に行われています。不動産会社の担当者に「別の保証会社で再審査できないか」と相談してみてください。遠慮せずに相談して問題ありません。

物件条件を見直す

審査に落ちた原因が家賃の高さにある場合は、条件を見直すと良いでしょう。

見直すポイントの優先順位は次のとおりです。

  1. エリア: 最寄り駅を1〜2駅ずらす
  2. 築年数: 築浅にこだわらず築10年以上も検討する
  3. 設備: オートロックや角部屋などの条件を外す
  4. 間取り: 1Kや1Rなど、コンパクトな部屋も候補に入れる

信用情報の回復を待つ

事故情報の登録期間が残りわずかな場合は、削除されるまで待つのも選択肢の一つです。

前述のとおり、登録期間は最短5年、最長で7年です。本人開示請求で現在の登録状況を確認し、あとどのくらいで削除されるか把握しておきましょう。

管理会社の現場から見た「審査の裏側」

ここでは、賃貸管理の実務に携わる立場から、審査の裏側をお伝えします。

管理会社はブラックリストをどう判断しているのか

管理会社が入居審査で受け取るのは、保証会社からの「承認」または「否認」という結果だけです。否認の理由は通常、保証会社から開示されません。「収入が足りなかったのか」「信用情報に問題があったのか」は、管理会社にもわからないのが実情です。

そのため、管理会社の担当者が「この方はブラックリストだから断ろう」という判断をすることは、まずありません。むしろ現場では、否認が出たら「では別の保証会社で通せないか」と考えるのが自然な流れです。管理会社にとっても空室が埋まることはメリットですから、入居希望者と同じ方向を向いていると考えていただいて大丈夫です。

実務上、保証会社の承認が出れば、管理会社が独自に入居を断るケースはまれです。大家さんに報告する際も、保証会社の承認が出ている旨を伝えれば、多くの場合はスムーズに契約へ進みます。

審査で好印象を与えるポイント

管理会社の担当者として、審査時に好印象を持つのは次のような方です。

  • 申込書に空欄がない: 緊急連絡先や勤務先の情報をしっかり記入している
  • 必要書類をすぐに提出できる: 身分証明書や収入証明を事前に準備している
  • 連絡がスムーズ: 在職確認や追加書類の依頼にすぐ対応してくれる
  • 内見時の態度が丁寧: 物件を大切に使ってくれそうな印象を与える

反対に、申込書の記入が雑だったり、連絡がつかなかったりすると、管理会社としても大家さんに推薦しづらくなります。書類の丁寧さや対応の速さは、審査結果に直結するポイントです。

実務で印象に残っているのは、収入面では少し不安のある方でしたが、内見時の受け答えがとても丁寧で、申込書も一切の空欄なく提出してくださったケースです。オーナーに「書類もしっかりしていて、お人柄も安心できる方です」と伝えたところ、快く承諾していただけました。審査は数字だけで決まるものではない、ということを現場にいると実感します。

知っておきたい入居者の法的な権利

ここまで審査に通るための方法を紹介してきましたが、「無事に契約できたあと、ブラックだったことが原因でトラブルにならないか」と不安に感じる方もいるかもしれません。

結論から言えば、賃貸借契約が成立したあとは、入居者の権利は法律でしっかり守られています。ここでは、知っておくと安心できる法的な保護について解説します。

借地借家法による入居者保護

借地借家法第28条では、賃貸人(大家)が契約の更新を拒否したり、解約を申し入れたりするには「正当の事由」が必要と定めています。

つまり、いったん賃貸借契約を結んだあとに、大家が「信用情報に問題があった」という理由のみで退去を求めることは、通常は認められません。契約後は、家賃をきちんと支払い、契約内容を守っている限り、安心して住み続けることができます。

この規定は強行規定(契約で排除できないルール)であるため、仮に契約書に「信用情報に問題が判明した場合は退去する」という条項があっても、無効と判断される場合もあります。

宅地建物取引業法と入居者の保護

宅地建物取引業法では、宅建業者に対して重要事項の説明義務や、不当な勧誘の禁止を定めています。

この法律の趣旨に照らすと、合理的な理由なく特定の属性の方の入居を拒否することは、宅建業者としての信頼関係の原則に反する可能性があります。

ただし、入居審査そのものは大家の契約自由の範囲に含まれるため、審査基準の設定自体が直ちに違法となるわけではありません。あくまで、不当な差別的取り扱いがあった場合に問題となります。

もし入居審査の過程で、理由の説明なく申し込みを断られたり、不当な対応を受けたと感じた場合は、各都道府県の宅建業免許窓口に相談することができます。

もし入居審査の過程で、理由の説明なく申し込みを断られたり、不当な対応を受けたと感じた場合は、各都道府県の宅建業免許窓口に相談することができます。

ブラックリストの登録を確認・解消する手順

最後に、自分の信用情報を確認する具体的な手順を紹介します。

各信用情報機関への開示請求の方法は次のとおりです。

機関開示方法費用必要書類
CIC(シー・アイ・シー)インターネット・郵送500円(ネット)/ 1,500円(郵送)本人確認書類
JICCスマートフォンアプリ・郵送1,000円本人確認書類
KSC郵送のみ1,124〜1,200円本人確認書類

開示結果に誤りがあった場合は、各機関に訂正・削除の申し立てを行えます。たとえば、すでに完済しているのに延滞情報が残っている場合は、債権者(カード会社など)に連絡して情報の修正を依頼しましょう。

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まとめ

この記事の要点を整理します。

  • 「ブラックリスト」とは信用情報機関への事故情報登録のことで、登録期間は5〜7年
  • 信用情報を照会するのは主に信販系保証会社。独立系・協会系なら審査に通る可能性がある
  • 独立系保証会社の利用、代理契約、預貯金審査など、複数の選択肢がある
  • 管理会社は保証会社の審査結果をもとに判断しており、信用情報を直接見ることはない
  • 借地借家法により、契約後は信用情報を理由に退去を求められることはない

ブラックリストに載っているからといって、賃貸物件を借りられないわけではありません。大切なのは、自分の状況に合った保証会社や物件を選ぶことです。

まずは信頼できる不動産会社に相談し、審査に通りやすい物件を一緒に探してもらいましょう。

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